【2026年最新】ガジェットのPSEマーク未表示はなぜ危険?発火リスクと安全性を見極める基準

【Safety & Security】安全性・リスク管理

大手ECサイトでガジェットを購入する際、商品名に執拗に「PSE技術基準適合」「PSE認証済」などと記載されている商品を見たことはないだろうか。

「何かはわからんが適合しているらしい」という理解で商品を選んでいると、いつか身の危険を感じる体験をしてしまう可能性がある。なぜならPSEマークは、単なるデザインではなく、万が一事故が起きた際に、日本国内の法律に基づいて誰が責任を取るのかを示す連絡先のようなものだからだ。

その名前すら記載できない、あるいは記載を拒むブランドの製品を、寝室や居間のコンセントに差し込む行為がいかに危ういか。PSEについて知っておくことは、自分の生活を守る力に直結すると言える。

本記事では、大手に限らずECサイトで買い物をする際に注意したい「ガジェットのPSEと安全性」について、2025年末の法改正もふまえて掘り下げた。

免責事項

PSEの法的根拠と表示の義務

PSE(ピーエスイー)はただの文字列ではない。日本の電気用品安全法(PSE法)に基づき、安全基準を満たした電化製品に付けられるマークである。AC100Vのコンセントに接続する家電製品、ACアダプター、モバイルバッテリーなどを含め、457品目が対象となっている。

一見ECサイトで手軽に購入できる便利なガジェットに見えても、その実態は高い電圧を扱う「電化製品」であり、法的な安全基準を満たす義務があるのだ。そして、このPSEは製造・輸入事業者が責任を持って安全性を確認し、表示することが義務付けられている

義務付けられていても守っているかは別

義務付けられていると記載したばかりなのに「守っているかは別」という衝撃的な見出しで驚いた人もいるかもしれない。

実は、PSE法において、安全性の確認や届出の義務を負うのは、日本国内に拠点を持つ「製造事業者」または「輸入事業者」なのだ。つまり、海外メーカーが日本国内に拠点を置かずに直接届出を行うことは、現行法(法改正前)の枠組みでは想定されていない仕様になっている。

日本の警察や経産省は、海外(中国など)にいる事業者を日本の法律で直接処罰することができない。そのため、日本で海外事業者がPSE対応する場合、海外から製品を持ち込む輸入事業者(日本国内の法人・個人)を責任者として立て、届出を行う必要があるのだ。

しかし、このPSEには抜け道がある。ここが「守っているかは別」と書いたポイントだ。

海外からの直接販売は個人輸入扱いで責任が個人へ

例えば、大手ECサイトの一つであるAmazonを例に考えてみよう。Amazonで商品を販売する会社には下記の2つのパターンがある。

販売スタイル考え方義務
Amazon倉庫(FBA)に置く国内販売あり
海外から直接購入者に送る海外での商売あり

Amazonの倉庫に商品を送るスタイルの場合、当然日本で売ることになるので100%PSEの義務がある。そして当然ながら、海外から直接購入者に商品を送る場合でも、生業としての商売のためPSEは義務がある。

しかし大手ECサイトなどのプラットフォームを通じて、海外の業者が日本の消費者に直接販売(直送)する形態をとる場合、形式上は「消費者が個人輸入した」という形になる。

海外から我々の自宅へ直接届く商品は、法的には「自分の責任で取り寄せた個人輸入」として扱われるため、日本の厳しいPSE法(販売規制)は適用されない。

つまり、その製品が「日本の安全基準をクリアしているか」を確認する責任は、海外の業者ではなく、購入した「我々自身」に丸投げされているのだ。彼らは「私はただ送っただけ。買ったあなたが自分の責任で個人輸入したことにしてね」という理屈になっている。

そして大手ECサイトはあくまで商品を売る場所を提供しているだけであり、PSEの認証などは業者が責任を持てよ、というスタンスなのだ。

それを行政が取り締まろうとしても、責任者が海外にいるため「逮捕」も「罰金」も届かない。そのため何の罰則もなく、平然とPSE認証無しの商品を売ることができていた。

つまり「大手ECサイトで売っているから」「海外ではなく倉庫から届くから」といって安全だと思い込むのは、命を預けるにはあまりに脆弱な根拠だと言える。

知っておきたい「PSEマーク」の2つの形

PSEマークには2つの形があり、それぞれ意味が全く異なる。

  • ひし形PSE(特定電気用品): コンセントに直接挿す「ACアダプター」や「コード」など、特に危険性が高い116品目が対象。これらは国が認めた第三者機関による厳格な検査(ダブルチェック)をクリアしなければ表示できない。
  • 丸形PSE(特定電気用品以外の電気用品): リチウムイオン蓄電池、モバイルバッテリー、加湿器、LED電球など341品目が対象。メーカーが自ら基準を満たしているか確認し、届け出る仕組み。

リチウムイオン蓄電池が丸形PSEである恐怖

消費者庁が公開した注意喚起レポート(2024年発表)によれば、2020年度から2024年度までの5年間の発熱・発火等の事故情報162件のうち、リチウムイオン蓄電池に起因すると考えられるものは136件と84.0%を占め、近年増加傾向とのこと。

リチウムイオン蓄電池を使用しているワイヤレスイヤホンが充電後に発火、スマートウォッチが突然爆発など、恐ろしい事故が起きているのだ。

それらの発火に起因すると考えられているリチウムイオン蓄電池は、丸形PSE、つまりメーカーが自己チェックで届け出ができてしまうという恐ろしい仕組みになっている。

コンセントに繋ぐACアダプターは厳しい検査(ひし形)が必要であるにも関わらず、それ以上に持ち運びのリスクが高い製品に使用されるリチウムイオン蓄電池は、自己申告で済まされてしまう。

海外製品にはごまかす粗悪品も存在する

本来、厳格な検査が必要な「ひし形」対象の製品に、勝手に「丸形」のロゴを印字してごまかしている粗悪品も存在するようだ。検査の手間とコストを省きつつ、見た目だけ「PSE対応」を装う手口だ。

手元にあるACアダプターを見てほしい。もしそのPSEが「丸形」だったら、それは日本の安全基準を正しくパスしていない、法的に不備のある製品かもしれない。

2つのマークがあることすら知らない業者から購入してしまった可能性があるということだ。

2025年12月、ついに「逃げ得」の時代が終わる

こうした「海外業者のやり得」を放置してきた法の抜け道も、ついに修正の時を迎えた。 2025年12月25日の法改正施行により、直接販売を行っていた海外の事業者であっても、日本国内に責任者(国内管理人)を立て、その氏名を表示することが義務付けられたのだ。

これからは「PSEマークはあるが、日本国内の会社名もしくは個人名が記載されていない商品」は、明確な法令違反としてプラットフォーム(Amazon等)から排除される。

項目海外直送(これまで)2025年12月以降(法改正後)
法律上の位置づけ個人輸入(販売規制の対象外)国内販売と同等の規制対象
国内責任者の設置不要(購入者の自己責任)必須(国内管理人)
事業者名の表示ほぼ無し(野放し)必須(本体・パッケージへ刻印)
経産省への届出不要必須(データベースで公表)

参考:経済産業省「消費⽣活⽤製品安全法等の⼀部を改正する法律の概要(海外事業者の規制対象化について)

大手ECサイトの商品ページに記載しなくてはならないといった義務はないためどの程度安心できるかは不明だが、海外からの直接販売の場合、国内管理人を立てて指名を公表するため、PSEマークの意味がようやくでてくることになりそうだ。

しかし、国内管理人が「日本人であること」については触れられてはいないという気になる点だけ、最後に残しておく。いずれにせよ、PSEの理解を深めておけば、ガジェットの買い物リスクを多少低減できるだろう。

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